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アーティストTAIKIインタビュー ── 違う柄があるから、個性になる ──

アーティストTAIKIインタビュー ── 違う柄があるから、個性になる ──

服飾のパッチワーク手法を絵画に応用し、「継ぎ接ぎ」をコンセプトに制作するアーティストTAIKI。会社員からの転身と、コンセプトの背景にあるアイデンティティについて聞いた。

違う柄同士を組み合わせて、そこにようやく生まれる模様を作る。TAIKIの作品コンセプトは「継ぎ接ぎ」。服飾学生時代に培ったパッチワークの手法を応用し、一度アクリル絵の具で描いた透明の板を裁断し、重ね、繋ぎ合わせて再構築する。断片はどれも違う表情をしていて、それ故に均一性のない模様が生まれる。

日本と韓国のハーフとして育ち、幼少期に抱えていた「人と違う」というモヤモヤが、いま作品の中心にある。人と違う部分は隠すものじゃなく、自分だけの模様なんだ、と。

会社を辞めてアーティストになるまで

BOA

絵を描き始めたきっかけは?

TAIKI

もともと学校を卒業して、グラフィックデザイナーとして会社で勤めていて。ちょうどコロナ禍でリモート中心の仕事になって、時間が結構余るようになったんです。

その時間で自分のことを考えたり、手遊びでいろいろ書いたり物を作ったりしていて。だんだんそれが楽しくなってきて、やっぱり自分の好きなことに人生を賭けようかなと思って、即仕事を辞めてアーティスト活動を始めたみたいな感じです。

結婚した直後だったんで結構勇気が必要だったんですけど、奥さんも「仕事やめちゃいなよ」って背中を押してくれたので、辞めましたね。

BOA

学生時代や社会人時代は、どんなものを作っていましたか?

TAIKI

学生時代は、それこそ今のスタイルにつながるんですけど、パッチワークの洋服とか、派手な衣装系の服を作ってましたね。ファッションデザイン科で2年通って卒業して、みたいな感じで。

会社員時代は全くファッションとは関係なくて。化粧品とか雑貨のパッケージとか、広告の画像とかを作るような仕事でしたね。

BOA

アーティストになろうと思ったきっかけはありますか?

TAIKI

特にないんですけど。(笑)会社員時代はデザインをやりたくてやってたわけじゃないんで、やりたいことがわからずに淡々と時間が過ぎていった感じで。

そのタイミングでありがたいことにリモートワークになって時間もできて、その遊びがこういうものづくりだったんで。昔から美術とか図工が好きで、手遊びでこうやってて。

その時に、プライベートのインスタのアカウントに作ったものを乗っけてたんですよ。そしたら友達が欲しいみたいになって買ってくれて!

そこから何個か遊びで作ったのがポンポン売れて、「めっちゃ簡単じゃん!」って思って。(笑)アーティストいいじゃんと思ってやった部分も多少はありますね。でも、始めてみたら案外上手くはいかなくて。

すごくたまたま売れちゃって、アートの業界とか周りのことも何にも知識がないから、「これが普通なんだ」「アーティストはみんな描いたら売れるんだ」みたいな。好きなこともできるし、始めたって感じですね。

BOA

画家業界が厳しいとは知らなかったんですか?

TAIKI

舐めてましたね。(笑)でも、舐めてたから良かったのかもしれないです。美術系の学校とかだと知識があるじゃないですか、業界のことも多少耳に入ってくるから、それで諦めちゃう人もいると思うんですけど。何も知らなかったから始められたってところはありますね。知ってたらやってなかったかもしれないです。グラフィックでフリーランスになるとか、そういう安定を取ってたと思います。

本当に、会社にそのままいたらどうなってたか。想像しただけでも嫌ですね。

スタイルが見つからなかった4年間

BOA

絵を描いていて辛かった経験はありますか?

TAIKI

4年間がしんどかったですね。特に後半の1年ぐらい。子供が生まれたっていうのもあったし、そろそろ1個結果を出さないとというのもあったし。睡眠時間も毎日3時間とかの時期もあって。毎朝起きたら鼻血が出るみたいな時期が1、2ヶ月ぐらいあって。その時が一番しんどかったです。

毎年一回は辞めたい時が来て。もうちょっとやってみようの繰り返しで、今やってるみたいな感じですね。

でも、これしかないんですよ。今から野球選手になるって言っても現実味がないし、得意なことはアートしかないし、辞めたところでって感じですね。会社員に戻るのも嫌だし。

メンタルはめちゃくちゃ豆腐メンタルなんですけど、奥さんは結構メンタルが強めなんで。それがデカかったですね。一人だったら、とっくに辞めてるかもしれないです。

BOA

今の画風に辿りついたきっかけは?

TAIKI

2021年に活動を始めて、キャンバスとかにもちゃんと描いたことがなかったんで、とりあえずキャンバスに絵の具で描くとか、いろんなことをやってたんですけど。全然、自分がかっこいいと思うものが作れなくて。3、4年ぐらい悶々としてて、その期間ってあんまり楽しめてなかったんですよね。

だから独特のものが生まれないなって感じて。どうしたらいいかなと思った時に、やっぱり学生時代は何も気にせず、ただ好きな洋服を楽しく作ってたんですよ。それで結果も結構ついてきてて。なので、その時の感覚でやった方が自分らしいものが作れるんじゃないかと思って。

あんまり絵を描こうって思いすぎない方がよくて。キャンバスに絵の具で、みたいに型にはまりすぎない方が自分は良かった。絵を描くっていう感覚を捨てた時に、自分のスタイルがだんだんできてきたなと思います。

その時に子供が生まれて、1歳になるぐらいの時に落書きとかし始めて。子供だから無我夢中に描いてるその線の勢いというか、尖った感じがかっこよくて「これだ!」ってなって。学生時代にパッチワークで洋服を作ってたのと、子供に受けた刺激を合わせて、今のスタイルになったみたいな感じですね。

BOA

お子さんも絵を描いたりするんですか?

TAIKI

今、上が3歳で下が1歳。男の子二人で。

上の子は結構描いてて。地元のアートフォーラムみたいなところで、自分の作品と上の子が描いた絵が一緒に展示されたんですよ。たまたまご縁で、子供のアトリエをやってる方が展覧会をやることになって。「TAIKIくんも作品を出してくれない?」みたいな感じで。

めっちゃ嬉しかったですね。生意気だとは思いましたけど(笑)3歳でいっちょ前に、額縁とかも入れてあげて。(笑)

切って、重ねて、繋ぎ合わせる制作の話

BOA

どのような画材、技法を使って描いていますか?

TAIKI

土台は普通の板なんですけど、素材がポリカーボネートで、アクリル板みたいな透明のものです。一応0.5ミリぐらいのを使ってて。そこにアクリル絵の具をのせて柄を描いて、カットして、重ねて貼って、繋ぎ合わせていく。

いろんな工程があって、すごい複雑です。洋服を作るみたいな感覚でやってます。

大きい板に描いて、そこから欲しい部分だけカットして。欲しい柄がなかったら、もう一回新しいのに描いて作って、みたいな感じですね。

BOA

描いていて一番難しいことは?

TAIKI

難しいことは特にないんですけど、最初に苦労したことで言うと。1層目をやる時に、ミリ単位ではみ出ると気になっちゃうんですよ。だからそこを合わせていくのが大変で。今はもう大体分かってできるようになったんですけど、最初は細かいところが難しかったですね。

1箇所ズレちゃうと、次のパーツが全部ちょっとずつずれていくみたいな。最終的に大きい乱れになっちゃう。だからミリ単位でこだわってやってますね。

BOA

絵を描く上で大切にしていることはありますか?

TAIKI

まずはシンプルに、自分がかっこいいと思ったものを形にするっていう。頭の中にあるものをそのまま出せれば自然とかっこよくなるので、そことかわらないように作るか、みたいな。

イメージはもう大体あって。でも、本物が超えてくるんですけど。この柄の組み合わせが、頭の中では100はできないので。出来上がった時にしか分からない、その感動ですね。

「継ぎ接ぎ」というコンセプトに込めたもの

BOA

どんな想いを込めて描いていますか?

TAIKI

一応、継ぎ接ぎっていうコンセプトでやってて。違う柄同士を組み合わせて、ようやくできるこの模様が作りたくて。

自分の違いというか、アイデンティティの部分で、お母さんが韓国人っていう部分で、幼少期とかは「純日本人になりたかったな」みたいな。結構モヤモヤしてた時期があって。

周りもハーフの友達が結構いて、みんな同じようなものを抱えてて。でもだんだん高校生とか大人になってくると、それがみんなの個性になっていったりして。

そう思った時に、人と違う部分ってネガティブなもんじゃなくて、逆に自分の個性だなって思えるようになって。この作品もそうで、違ってる柄があるから生まれる模様なので。

だからハーフとかじゃなくても、人と違う部分が嫌だなとか隠したいなって人も結構いると思うんですけど。それは自分だけの模様なんだって思えれば、輝けるよっていう感じでやってます。

BOA

どんな人に届けたいですか?

TAIKI

世界中の誰でもいいんですけど、単純にかっこいいって思ってくれればそれで十分だし。それこそさっき言ったコンセプトの部分で、人と違うなっていう葛藤がある人が、作品を見ていいなと思えるきっかけになれば嬉しいですね。

でも基本は誰でも!

BOA

何からインスピレーションを得ていますか?

TAIKI

ファッションブランドのコレクションとかは結構見ますね。あとグラフィックも一応やってたんで、かっこいいポスターとか。タトゥーも好きなんで、海外のタトゥーアーティストのデザインとかも見たり。絵はあんまり見ないです。

グラフィカルなものの方がかっこいいなみたいな。

これから目指す場所

BOA

最後に、将来どんなアーティストになりたいですか?

TAIKI

将来はもう、それこそ村上隆とか草間彌生ぐらい、世界中の誰でも知ってるようなアーティストになりたい。

そこまで行く過程で、名だたるブランドと一緒に物を作りたいですね。ヴィトンとか、ファッションだけじゃなくてベンツとか、そのレベルのところといろんなことをやりたいです。

取材・文 / BOA編集部

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